パラパラと雨が舞い落ちる中、
僕はスズムシのオーケストラに耳を傾けていた。
築60年ぐらいするこの家は、土間だってあるし、縁側だってある。
夏には冷房なんてなくても案外過ごしやすいものだ。
畳だって居心地のいいものだ。
先日までは、
隣を通る高速道路を走るトラック達の走行音や、
電車の音が鳴り響いていたのに、
色々な音があるものだと思ったし、
この音をこれほどまでに新鮮に感じてしまう程に
染まりきってしまったのかという感傷に浸ったりもしていた。
我々子供達が出て行き、婆さんも出て行った今となっては、
母親一人でこの家を使っていることになる。
(近くに住む妹はときどき帰ってくるが)
今夜は、それぞれ用事があり、なぜか僕一人でこの家にいるというわけだ。
ひとりで扱うには広すぎるな・・・
正直そう感じた。
どんどん人が減っていくこの家も寂しくなる一方だ。
などと、更に感傷を深めながら
メシを食ったり風呂に入ったりしていて気がついた。
正直ちょっと怖くない?!ってことに。
山奥だし該当もないし、
今日は月明かりもない。
真なる暗闇とは、ここまで深いんですね。
虫の声と共に改めて思い出した。
都会の夜なんて、
なんだかんだ明るいので、闇なんかないんだよね。
そんな感慨深い夜。
明日にはまた離れてしまうけれど、
原点はやはりここにあるような気がする。
原点に留まるのも良いけれど、
僕は原点と未来を行ったり来たり出来るのが一番良いと思う。
将来的には、2重拠点でも3重拠点でも、
週末だけとか、月の半分、一年の半分でも
好きなときに好きな気分で移動出来るような、
そんな生活を目指したい。
コメント