感想・映画「ひるね姫」のファンタジー要素はすべて壮大なブラフ

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こんにちは、こやぷよ(@coyapuyo)です。

映画「ひるね姫」観てきました。

個人的に近年はヒット作が多くて楽しいですね。

業界が盛り上がるのは良いことですよね、うん!

劇場版「ソード・アート・オンライン」を観ていたときにCMが流れていて、その時点で視聴を心に誓っていました。

が、実際に僕が行った回では入り具合は20%程度でした。

直前には結構なプロモーションもかけていたように見えましたが、世間での認知度はこんなものなんでようかね・・・。

というわけで、ひるね姫について書いてみたいと思います。

目次

ひるね姫

まずは、そもそも「ひるね姫」 とはなんぞや、というご紹介から。

https://wwws.warnerbros.co.jp/hirunehime/

作品の雰囲気を知ってもらうには、何はともあれ映像を見ていただくのが早いと思います。

公開直前からはテレビCMが打たれたりしているので、見かけたことがある人もいるのでは?。

映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』本予告【HD】2017年3月18日公開

地方に暮らす平凡な女子高生。

頻繁に見るようになったおかしな夢が実は現実と繋がっていた。

そこに隠された秘密とは?

といった感じのストーリーです。

神山健治監督作品!

本作の監督は、神山健治監督です。

神山監督と言えば、あの攻殻機動隊の中でも特に評価の高いSACシリーズを世に示したお方。

期待しないわけにはいきませんね。

映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」オフィシャルサイト 神山健治監督初の劇場オリジナルアニメーション!

特に、絵柄・キャラデザの雰囲気が好きですね。

攻殻機動隊では、あの年代ながら高度な電脳描写とタチコマCGをやってのけたりして、当時のレベルとは思えないです。

実は映画公開記念で、攻殻機動隊の一挙放送を行うメディアさんもあったりするので未視聴の方はぜひ。

『ひるね姫』公開記念! 『攻殻機動隊S.A.C.』を一挙放送! | アニメイトタイムズ

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Blu-ray Disc BOX:SPECIAL EDITION (特装限定版)

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感想

という訳で、ここからは内容について感想を書いて行きます。

 総評

総評としては、「まあまあ面白かった」というところでしょうか。

中途半端なことを言って申し訳ないですが、多分本作は見る人を選ぶような、そんな印象でした。

まず、面白かったとは言うものの、

より厳密には「感動した」という方が正しいです。

アクションのワクワク、とか

謎解きミステリー要素のドキドキ、とか、

そういった方向の面白さよりは、「感動」でした。

色々な皮はかぶっていますが、主軸のところは細田監督作品のテーマ性と近いものがあるような気がしました。

色々と飾り付けてはいますが、「おおかみこどもの雨と雪」とはかなり近い作品なのではないかと思います。

序盤の盛り上げ方

正直なところ、序盤から中盤までは、盛り上がりにかけてイマイチ面白くありませんでした。

導入からいきなりファンタジー展開でちょっと置いて行かれた感じがありましたしね。

あまり説明がないで、序盤はテンポが悪いというか淡々とした感じに感じられます。

ただ、後半から終盤にかけて、展開も早くなっていき、すべてが繋がってくるので面白くなってきます。

人によっては序盤で離れてしまうかもしれませんが、最後まで注力して観て頂きたいですね。

ところで、この後半にかけて繋がってくる謎たち。

意図的かどうか分からないのですが、登場人物達は基本的に飲み込みがよく、理由の分からないこともあまり謎として疑問をもたずに素直に行動します。

あまり、謎を謎として気にしたり葛藤したりする心理描写があまりないんです。

これによって非常に素直で純粋なキャラクター(碇シンジくんとは対極)として描かれていますが、そのかわわり本人が謎に思わないということは説明がされないまま展開していき、視聴者としてはモヤモヤするということです。

故に、後半でつながってくるときも本人が謎と思っていないので、あまりカタルシスにつながらない、という作りになっていました。

表裏一体かもしれませんが、もう少し前半が盛り上がるとよかったかな、と思います。

本作のターゲットは?

本作はどんな層の人に刺さるのか、と言われるとかなり難しいです。

それは、本作が、

ファンタジー

SF

現代

田舎

都会

家族

社会風刺

といった、かなり多様な要素を盛り込んでいるからです。

このどれかの要素に刺さる人はいると思いますが、特化した作品よりはそれぞれの要素は薄いですから弱くなってしまう・・・

それは「君の名は」にも言えることで、

既存の売れる要素をふんだんに盛り込んでいるだけ、という批判がありました。

ただし、それに対して新海監督が「だけ、というなら皆やってみればよい。それで売れるのならば苦労はない」という旨の発言をしたとかしないとかいう噂もあります。

まあそういうことなんでしょうね。

詰め込んでも良いのですが、それをお互いに必要なバランスで組み合わせるのはものすごく難しいと思います。

本作では、どの要素をどの層に描きたかったのか、言いたいことがありすぎたような印象を受けました。

ある要素が好きな人には、別の要素が邪魔になってしまうような、そんなバランス。

結果的に、万人受けしないバランスになって、特化していた方が良かったのではと思ってしまった部分もありました。

ファンタジー要素はブラフ(ややネタバレあり)

本作には魔法が出てたり不思議なことが起こります。

ですが、それは実は魔法というよりは、マジック(手品)や科学に近いものであって、現実ではごくごく普通にあり得る(説明出来る)ことしか起こっていなかったという描写があります。

これには驚きました。

結局は何の変哲もない日常であり、最後は家族の話にたどり着く。

このあたり、監督はインタビューに対してこんなことを語っています。

https://gigazine.net/news/20170317-hirunehime-kenji-kamiyama-interview-2/

そう、世界を変えるような特別な話にはしたくなかったみたいなんですよね。

あくまでも日常や現実に根ざしたものしたかったのだと思います。

登場人物の数の少なさや掘り下げ方、展開そのものは明らかにセカイ系のそれだとは思うのですが、結局のところ最後に救うのは別に世界じゃない、という造りでしたね。

また、お得意の社会風刺も入っていました。

最後まで観たあとに冒頭のファンタジー世界の説明を思い出すと、ようやくすべてが繋がる感じになります。

渋滞が起こる、人が見を娘にして働く、人力でロボを動かす。

これらのアンチテーゼとしてのAI(魔法)。

これを脚本上後半まで伏せているがために、前半で「違和感」が多くておきざりにされてしまっていたということなんでしょうね。

おまけ

・監督、明らかに「パシフィック・リム」に影響受けてますよね!

・最後のスタッフロールの映像が素晴らしいです。むしろこれが本編?

(スタッフロール中の映像なんてFF8を思い出しますね。)

ではでは。

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