こんにちは、こやぷよ(@coyapuyo)です。
ちょっと前の話になりますが、受賞直後に、映画パラサイト観てきました。
賞を取ったとたんにみに行くのもどうかとは思うけれど、やはり劇場も激混みでしたね。
皆、同じ穴のムジナということなのでしょう。
劇場数も上映回数もぐっと増えた印象です。
さて、まずは映画についておさらいです。公式から。
(ちなみに、公式がHTTPS対応していないのも気になります。これも格差のせい、なんでしょうか?)
内容としては、韓国の半地下物件(低所得層の象徴)に暮らす、その日暮らしの一家が富裕層の家に潜り込んで就職(パラサイト)していくという物語。
「格差社会」をテーマに描いている、言われる作品ですね。
さて、ここからは少しネタバレ成分を含みながら内容とその感想について触れてみたいと思います。(ネタバレ注意)
最後まで救いがない、そんな映画
やや核心に触れてしまうかもしれませんが、
言ってしまうとこの映画、最後の最後まで救いがありません。
なにせ、エンディングテーマ曲にさえ、救いがありませんでした。
後味が良いか悪いかと言われれば、劇場を後にする人々がほとんど会話をせずにトボトボと帰っていくという現場の雰囲気からお察しください。
間違いなく、悪い部類ですよ。後味については。
格差社会の闇を描くと言いますが、闇を闇でくるんだような、そんな作品でした。
ドキュメントではなく、エンタメ作品だと思う
ドキュメンタリーなのか、ホラーなのか、ジャンルを問われれば非常に難しい作品です。
ギャク要素だって全くないという訳じゃあないです。
ただやはり、この作品は「エンタメ作品」、そう思います。
(そりゃあどんな作品だってもちろんエンターテイメントなんでしょうけれど、)
この作品は一見ドキュメントに重きを置いているようでいてその実、エンタメとして楽しむことに主眼が置かれている、そういう作りになっていると感じました。
もっと踏み込んで言えば、
とてもとても、「演出・脚色」されている、ということです。
少し具体的に見てきましょう。
1.美男美女すぎる
まずは、分かりやすく引っかかったのはこの点。
息子はイケメン。
その妹はグールビューティ。
お父さんも無職だけれど、顔は漢らしく良い男。
なんなんだこの一家は・・・ちょっと出来すぎというものでしょう。
2.身なりが綺麗過ぎる
そしてもう一つ、貧困と言うには随分と小奇麗な服を着ている、という印象でした。
中盤の仕事用の服装なんかは特に。
仕事着は、お金が入り出してから買い増したんだろうけれど、息子に関しては序盤から小奇麗だったなと思いつつ。
家の目の前でアレが起きるような家庭だ、ということの対比で言えば違和感がありますね。
受験にも何回もチャレンジ出来ているし、英語だって堪能だっていう。
急に良い服が着れるようになったらなったで、普通以上に着こなせていました。
こういうときやっぱり「服に着られる」というか、似合わないものを着ている感がどうしても出るものだと思ってしまうのですが、それが一切なかった。
途中どうしても消せない独特の臭いの話もあったけれど、見た目は良かったですしね、
あと、半地下の家自体も、トイレと虫はあれだけど、広さは結構あったよね? なんて思ったりも。
要するに、ちょっと貧困慣れしてない感じが、僕としては感じられてしまった、という訳ですね。
3.スキルがあり、優秀過ぎる
服を着こなせるのもそうですが、仕事も出来ぎな印象です。
先程、英語スキルについても触れましたが、
富裕層相手に通じるほどの仕事が出来るなんて、なんて優秀なのでしょうか。
直前に一夜漬けで知識仕込んだだけで、心理的掌握を行い、車を使いこなし、すべての道を把握する。
娘も父親も優秀過ぎる。
劇中の富裕層が特段にチョロいという設定があるせよ、ちょっと違和感を感じるところです。
そう、ここまで来るとひとつの仮説が僕の中に浮かびます。
これはつまり、「元々優秀な人たちがたまたま不遇な環境に置かれているせいで食べていけない」ということを描こうとしているように見える、ということです。
事実として、後日談では、普通に長い期間生きながらえていますしね。
後日談のあの状況でも暮らしていけるなら、そもそもパライトする必要もなかったのでは?なんて。
ここまでの前提からすると、不遇な貧困層とイケ好かない富裕層を描いて溜飲を下げるという構造にしたいようにも思えます。
それなのに、最後にあんな展開にするから・・・!
カタルシスポイントで、まさかのですよ!
なので、よく分からなくなってしまうんですよね。
ちゃんと現実は現実だよ、という点を見せたかったドキュメントの可能性もある、あるにはあります。けど・・・!
やはり、主義主張を訴えたいというよりは、観客を揺さぶって楽しませようというエンタメに振られている作品、というのが僕の見解です。
(ちなみに、何故お母さんだけはあまり優秀に見えなかった不思議。戦闘スキルとしては強いんですけれどね)
4.ハリウッド意識
また、全体通してハリウッドを狙っている感じはすごくしました。
元々韓国は内需をそこまで当てにできないため、K-POPしかり積極的に世界に打って出るわけですが、とりわけこの作品は狙った感を感じました。
冒頭の、監督キャストの字幕もそもそも英語表記でしたし、素人意見としても絵作りがどことなくハリウッドっぽさを持っていましたね。
大概の映画がそうであるように、やはり本作もかなり狙って作られた創作なんだな、という風に僕は受け止めています。
良いとか悪いとかではなく。
それでも、生きていこう、そう思えた
さて、一般論で言えば、貧困層は・・・
・服装はみすぼらしくなり、
・美容にコストをかける余裕はなく、
・教育機会が十分でなく知識と教養が比較的乏しくなり、
とりわけあんな大富豪の前に立てばそれはもう確実に「ボロが出る」ものだと思っています。
構造上、発言や振る舞いの端々にどうしても現れてしまうものです。良し悪しではなく。
でもそんなイメージは、僕が学術的な貧困問題に囚われすぎているのかもしれません。
もしかして「今、そこにある貧困」みたいなものが実はすぐ側に存在していて、想像しているよりも当たり前のものになっているのかもしれないなと思いました。
総中流の社会がそのまま底が抜けて、総貧困社会が来ている。何も特別なことなんかじゃない、と。
劇中で、既存の貧困のイメージより「ボロが出ない」のは、
ネットの存在や格安スマホ、ファストファッション、デフレ時代の恩恵なんかの現れなのかもしれない。
あらゆるものは安く手に入る。中古や型落ちならなおさらです。
皆がある程度生活を成り立たせながら、あまり気が付かないうちに半地下に沈んでいっているのかもしれません。
なんとなく、生命の危機のようなものを感じさせられる映画でしたが、そのおかげで危機感が増したと言いますか、
そえでもなお、強く、生きていこう、と、そう思わされれる結果になりました。
追伸:
富裕層の奥様は非常に美人さんでしたね。
ここは非常にグッジョブでした。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinmukoeng/20200221-00163859/
ではでは。
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