乳酸菌飲料にまみれちまった悲しみに

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その日、男は乳酸菌飲料にまみれていた・・

どうも、こやぷよ(@coyapuyo)です。

今日はある男の身に起こったささやかな戯れについてのお話を。

男は定時で職場を後にしていた。

どうやら自分の関係ありそうなトラブルの打ち合わせが行われている様子が気になったが、それを横目に華麗にスルーしていた。

男の言い分はこうだ。

「だって呼ばれていないのだから」

そうだ、それでいい。

そう、男は転職によって、「定時帰り」を手に入れていた。

(もっとも、あと2ヶ月もすれば居場所を失い炎上案件に放り込まれてしまうのだが、それはまた別のお話だ。)

男が定時で仕事を切り上げて向かう先は、いつだって決まっている。

図書館だ。

そこでブログ執筆や自己啓発を行う算段、という訳さ。

(実際には週に1度ぐらいしか行っていないし、それすら最近は滞っていたことは内緒にしておこう)

本音を言えば、

おしゃれなカフェでノマドワークへと洒落込みたい。

そしてドヤりたい。

が、いかんせん、カフェはお金がかかると相場が決まっている。

平日毎日通ったら1000円×20日、そんなお金はない。

定時男には時間はあってもお金がないのだ。

お金だけじゃない。

定時男がもうひとつ持っていないものがある。

それは「鋼の意思」だ。

鋼の意志を持たぬ男は、自宅では作業がはかどらないし、無料の図書館にも週1程度しか足を運べない。

そんな男は、今日も満足げに図書館をあとにした。

「またひとつ前進してしまったぜ」

とでも言いたそうな顔には見えたが、

実際のところこの日は1記事を書き上げることもなく、

日々落ちていくPVを指を加えて眺めているだけだったことは想像に難くない。

さあ、いよいよ核心に迫ろう。

駅に向かう途中、男は違和感に気がついた。

それは、ケツに触れる冷たい感触。

いくらワシのケツが魅力的だからってイタズラは困るぜお嬢さん、

そんなようなことを思いながら男は振り返ったが・・・

誰もいない。いるはずもない。

男はいつだってぼっちだった。

では、誰が?何のために?

ついに、ワシのスーパーでグレートな頭脳が組織に見つかってしまったのか・・・!

男は慌てて確認した。

少し頭を捻って、冷たい感触の正体は、「何かが濡れている」のだということに気がついた。

おいおい、おじさんにもなってとうとうやっちまったのか?

そんな考えも一瞬よぎったが、それは杞憂に終わった。

思い返せば、男は記事も書きかけならば、飲み物も飲みかけで図書館を後にしていた。

・・・飲みかけの乳酸菌飲料をカバンにしまっていた。

・・・

・・

まみれ

「アイツかー!!!!」

乳酸菌飲料。

アイツのキャップはきっちりと閉まってはなかった。

カバンの中でだらしなく全てをさらけ出していた。

「馬鹿野郎!命を粗末にしやがって!」

そう思ったが、時すでに遅く、あとのフェスティバル。

30過ぎたおじさんが乳酸菌飲料をカバンからたらしながら歩いているという確定した事実だけがそこにはあった。

後に残ったのは、ベタついた手でスマホの指紋認証も反応しない悲しみだけだった。

おしまい。

皆さん、開けたものはちゃんと閉めましょうね。

おじさんとの約束ですぞよ。

ではでは。

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