「ここさけ」を観た無職が叫びたがってるんだ、「ここさけはアドラー映画!」

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こんにちは、こやぷよ(@coyapuyo)です。

現在絶賛無職中の僕ですが、

公開から1か月、遅ればせながら「こころが叫びたがってるんだ」、

通称「ここさけ」を観てきました。

https://www.kokosake.jp/

僕自身、殻に閉じこもるのが大好きで、

言いたいことも言ってこなかった人間なので、

結構、”刺さる”映画になっていました。

目次

ここさけを観た率直な感想は、「文学作品」

さすが「あの日見た花の名をまだ知らない」チームによる作品なだけあって、

とても文学作品的な作品に仕上がっていました。

人物の内面に焦点を当てまくっており、ラノベとは全く対をなす作品だと思います。

(いや、2015秋アニメのラノベ枠とかも個人的に好物なんですよ?)

普通、そういった文学小説は実写化されるものですが、

この世界観をアニメでやってしまうから凄い。(目新しい)

「演出ありき」ではなく、内面の心情を描くための道具としての演出を貫いた

大手の企画ものに多いのですが、

やりたい演出が先にあって、それに合わせた物語を組むことはよくあります。

例えば、私見ですが、アニメ・サイコパスという作品の劇場版では、

「海外にシビュラシステムがあったら」

という設定ありきで企画が練られていると思っています。

だから、主人公の茜や狡噛さんが海外を目指す理由は後付けられているんです。

だから行動に説得力が弱い。

対して、「ここさけ」では、

明らかに登場人物の内面の心情とそのキャラクターを何よりも重視して描いており、

このキャラクターの気持ちならどのように行動するか、

舞台設定や出来事はすべてそれを演出する舞台装置という位置づけを貫いていました。

だから、状況説明とかにはあまり時間を割いてないんですよ、

無駄な場面説明はあまりしないで非常にテンポよく場面が展開していきます。

描きたいものがハッキリしているから無駄がないです。

ちょっと脱線しますが、

序盤中盤の謎解き要素というか、伏線の張り方も良かったんですよ。

序盤中盤では、ほとんどヒロインのこと以外語られないですからね。

くどくなくワザとらしくない範囲でさりげなくそういうのも盛り込まれていて

ちゃんと飽きさせない引きもあるし、それが心情を引き立たせる。

どちらが良いかは、作品にもよりますし、

ハリウッドのアクション映画に多いような、

「迫力」とか、「面白い」「観たこともない組み合わせ」の映像を求めるのであれば、

やりたい演出シーンが先に持ってくること向いていることもあると思います。

でも、やっぱり観た人の心の深くに何か爪痕を残そうと思ったら、

キャラの心理心情と行動原理を主軸に組み立てるほうが刺さります。

僕は、アイアンマン(無印)とかパシフィックリムとかも好きで、

ヒーローや巨人が派手にドンパチという演出ありきの爽快な作品です。

でも実は、結構キャラが立ってて、行動原理を説明する描写にも力を入れていますよね。繰り返しますが、その方が刺さります。

つまり、何が言いたいかというと、

僕は「ここさけ」に結構感動した、ということですね。

僕が叫びたいのは「アドラー心理学の教科書的映画」だということ!

ここさけが文学である、ということの他にもう一つ、

僕がどうしても叫んでおきたいのは、

「アドラーの教えをよく表したアドラー心理学の教科書的映画」だということです。

アドラー心理学とは、

心理学では有名なフロイトとは異なる発想で唱えられた、

現代社会の問題にマッチするということで最近注目されている考え方です。

主人公には、大きなトラウマが存在しています。

そのトラウマが原因で声を出して人と喋ることが出来なくなってしましました。

トラウマはフロイト心理学的考え方です。

一方のアドラー心理学では、トラウマを完全に否定しています。

トラウマの代わりに「目的論」という考え方が示されています。

目的論は、普通に暮らしているとなかなか気が付きません。

次の本の中で詳しく説明されているので、一度読んでみてください。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

このトラウマの否定と、目的論について、

非常に分かりやすい事例とたまごの比喩を使って説明してくれる物語、

それが「こころが叫びたがってるんだ」という作品です。

「どういうことか分からない」、

「自分にも大なり小なりトラウマはあって苦しんでいる」、という人は

ぜひ「嫌われる勇気」か、この「ここさけ」を観てみてください。

きっと、いや、必ず、救われる部分があるハズです。

それはアナタ自身が薄々気づいていながら否定している

「ある感情」が明らかになるからです。

ただ、劇場終了後に「意味が分からなかった」

みたいなことを仲間内で話ている人もいました。

この映画は、何かしら近しい思いをしたことがあるとか共感できる要素がない人には、

全然意味が分からなくて刺さらないと思います。

(どんな映画でもそうですが、この作品は特に。)

・言いたいことを言ってこなかった人

・一生懸命にやっていたのに夢破れて周りにあたったことのある人

・子供が何を考えているのか分からずに疲弊している人

そういう人には向いていると思いますので、ぜひ観てみて下さい。

日本中が感動!なCM作りには違和感。

ただ、ちょっと残念だったのは、特報やテレビCMの打ち方。

あんな「日本中が感動」みたいな売り出し方はやめて欲しかった。

せっかく内容は良く出来ているのに、

それだけでありきたりな安っぽい感動モノみたいに見えてしまう。

「心が叫びたがってるんだ。」特報 – YouTube

いかにも仲間とミュージカルやって青春しました、みたいに見えてしまう。

違うんですよ、もっとこう、ドロドロとしてるんですよ、そこを抉るから面白い。

あくまでも手段だったから、

なんならミュージカルでなくたって別に良かったぐらいなんですから。

(ここからネタバレ)

もっと、

お母さんのセリフの

「周りから変な目で見られるんだから、家から出ないでって言ってるでしょ!」

「あなたが何を考えてるか分からないのよ!」

チアリーディング部の仁藤さんの

「ああいうの嫌だな、言いたいことがあるならハッキリ言えばいいのに」

主人公の

「言葉は傷付けるんだから!もう二度と戻らないんだから!」

みたいな部分を切り取って作ったらよかったのに。

(ネタバレ終わり)

意図としては、ごく普通の青春感動モノと見せかけて、

実際に観た人を驚かせようという戦略もあったのかなと思いますが、

これだと新規のお客さんがつかみにくいと思います。

なんせ実際に僕も、そのあたりの理由から、この1か月視聴が遅れてしまいましたし。

あの花は好きだったにも関わらず、です。

ただ、この作品、公式サイトのトップでも「観た人の満足度は高い」と謡っていて、

97%ぐらいの満足度があるみたいです。

実際に観た人の評判も良いので僕も観てみた次第です。

というわけなので、ここまで読んでくださったアナタも観てみるべきです!

1日の上映回数も少なくなってきていて、

もう公開終了も近そうな感じなので、まだ観ていないという方はぜひ劇場へ!

ではでは。

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